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【医師解説】妊娠初期の出血。大丈夫な出血と危険なサインの見分け方

【医師解説】妊娠初期の出血。大丈夫な出血と危険なサインの見分け方

2025/11/18(Tue)

【医師解説】妊娠初期の出血。大丈夫な出血と危険なサインの見分け方

妊娠の喜びも束の間、トイレットペーパーに血がついていたり、下着にシミを見つけたりすると、心臓が凍るような気持ちになりますよね。「赤ちゃんは無事だろうか」と、不安でいっぱいになるのは当然のことです。 しかし、まず知っておいてほしいのは、妊娠初期に出血を経験する方は決して珍しくないということです。そして、そのすべてが危険なサインというわけではありません。 この記事では妊娠初期の出血について、考えられる原因や確認してほしいポイント、受診の目安をわかりやすく解説します。

出血に気づいたら。まずはお電話ください

大前提として、妊娠中にどのような出血であっても、自己判断は禁物です。まずは一度、かかりつけの産院にお電話でご相談ください。

電話の前に確認したい5つのポイント

慌てずに、出血の状態を観察しましょう。

  1. 出血の量
    • ティッシュで拭いたら付く程度か
    • おりものシートや下着に少し付く程度か
    • 生理用ナプキンが必要か(昼用?夜用?)
    • 生理の時より明らかに多いか
  2. 出血の色
    • 茶色、ピンク色(古い出血のことが多い)
    • 鮮血、真っ赤(新しい出血の可能性)
  3. 腹痛の有無と強さ
    • 痛みは全くないか
    • 生理痛のような、しくしくとした痛みか
    • 差し込むような、我慢できない強い痛みか
  4. 出血以外の症状
    • めまいや立ちくらみはないか
    • 肩の痛みや、吐き気はないか
    • つわりが急になくなった、など
  5. いつから始まったか
    • 今さっきからか
    • 数時間前、または昨日から続いているか

これらの情報を元に、すぐに受診が必要か、あるいは少し様子を見ても良いかを判断します。

なぜ出血するの?妊娠初期の出血の主な原因

妊娠初期の出血には、心配のいらないものから、すぐに対応が必要なものまで様々な原因があります。

【心配の少ないことが多い出血】

  • 着床時の出血(着床出血) 受精卵が子宮内膜にもぐりこむ際に起こる、ごく少量の出血です。妊娠4週ごろに見られ、ピンク色や茶色のおりものとして1〜2日続くことがあります。妊娠成立のサインの一つとも言えます。
  • 子宮頸管からの出血(びらん・ポリープなど) 妊娠中はホルモンの影響で子宮の入り口(子宮頸管)が充血して、とてもデリケートになります。そのため、性交渉や内診のちょっとした刺激で、少量出血することがあります。多くはすぐに止まります。

【注意深く経過を見る必要がある出血】

  • 絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ) 赤ちゃんを包む膜と子宮壁の間にできた血の塊(血腫)から出血することがあります。血腫が小さい場合は、安静に過ごすことで自然に吸収されて問題ないことが多いですが、大きい場合は流産のリスクを高めるため、医師の指示に従いましょう。

【すぐに対応が必要な出血】

  • 流産・切迫流産 妊娠22週未満で妊娠が終わることを「流産」、流産になりかけている状態を「切迫流産」と言います。妊娠初期の流産の多くは、赤ちゃんの染色体異常が原因であり、残念ながら誰にでも起こりうるものです。切迫流産の場合は、安静にすることで妊娠を継続できる可能性もあります。
  • 異所性妊娠(子宮外妊娠) 受精卵が子宮の中ではなく、卵管などに着床してしまう状態です。妊娠のごく初期には通常の妊娠と区別がつきにくいですが、週数が進むと卵管が破裂し、大出血を起こす危険があります。強い下腹部痛(特に片側)を伴う出血の場合は、すぐに受診が必要です。

受診までの過ごし方

受診の指示が合った場合も、自宅で安静にするよう指示された場合も、次の受診日までの間は以下のことを心がけてください。

  1. 安静を第一に 仕事や家事は休み、できるだけ横になって過ごしましょう。入浴はシャワーのみにし、長時間の外出や運動、性交渉は避けてください。
  2. ナプキンを当てる 出血の量や色を正確に把握するため、タンポンの使用は避けて、必ず生理用ナプキンを使いましょう。
  3. 体を温める 体を冷やすと血流が悪くなり、お腹の張りを誘発することがあります。温かい飲み物を飲んだり、靴下を履いたりして体を冷やさないようにしましょう。

まとめ:不安な時は、一人で悩まずに相談を

  • 妊娠初期の出血は、決して珍しいことではありません。
  • しかし、その原因は様々なので、自己判断せずに必ず病院へ連絡してください。
  • 連絡の際は「量・色・腹痛の有無」を伝えられるようにしましょう。
  • 受診まではできるだけ安静に過ごすことが基本です。

出血を見ると、誰もが不安になります。その不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずはかかりつけの病院に相談してください。

愛産婦人科では、24時間365日いつでもお電話での相談を受け付けております。困ったことがある場合はいつでもご相談ください。(愛産婦人科011-676-1166)

なお、夜間や祝日などの休診時間帯は、当院受診歴のある方のみ診察が可能です。受診歴のない方はお電話でのご相談となり、診療(受診)は行っておりません。 お電話で状況をお伺いし、受診が必要と判断された場合は、翌診療日のご案内となりますこと、あらかじめご了承ください。

【監修】 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長 菅原 正樹

札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。 私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。妊娠中の予期せぬ出血など、ご不安な点があれば、時間外でも遠慮せずご連絡ください。