
【産婦人科医師監修】生理不順は放置しないで!多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)かも?妊娠しにくい原因と、医師が行う排卵サポート
「生理が2〜3ヶ月来ないことがある」 「周期がバラバラで、いつ排卵しているか分からない」 そんな悩みをお持ちの方は、もしかすると多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん/PCOS)かもしれません。 名前は少し怖いですが、実は生殖年齢の女性の約5〜8%(20人に1人くらい)に見られる、とてもありふれた疾患です。 放置すると「妊娠しにくい体」になってしまう可能性がありますが、正しく対処すれば赤ちゃんを授かることは十分に可能です。
1. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ってどんな病気?
通常、卵巣の中では月に1回、卵子が育って「排卵」します。
しかし、PCOSの方は、卵胞(卵子の入った袋)が育ちきらず、卵巣の中にたくさん溜まってしまう状態になります。
超音波検査(エコー)で見ると、育ちきれなかった小さな卵胞がネックレスのように連なって見えるのが特徴です(ネックレスサイン)。
なぜ起こるの?
ホルモンバランスの乱れや、糖の代謝異常(インスリン抵抗性)などが関わっていると言われていますが、はっきりとした原因はまだ分かっていません。
2. 「私、PCOSかも?」セルフチェック
以下の項目に当てはまるものはありませんか?
- 生理不順がある: 周期が35日以上空く、または年に数回しか生理が来ない。
- 毛深い・ニキビが多い: 男性のホルモン値が高くなるため、口周りの毛が濃くなったり、ニキビができやすくなります。
- 肥満傾向がある: 太りやすく痩せにくい(※ただし、痩せ型のPCOSの方も日本人に多いです)。
- 不妊治療中: なかなか妊娠しない。

3. なぜ「妊娠しにくい」の?
最大の理由は、排卵しにくい(排卵障害)ためです。
どんなにタイミング(性交渉)をとっても、肝心の卵子が飛び出していなければ(排卵していなければ)、精子と出会うことができず、妊娠は成立しません。
怖いのは、「生理のような出血はあるけれど、実は排卵していない(無排卵月経)」というケースがあることです。
「生理が来ているから大丈夫」と思っていても、実は妊娠のチャンスを毎月逃してしまっている可能性があります。

4. 医師が行う「排卵サポート」とは?
「PCOSだと診断されたら、もう自然妊娠は無理なの?」と不安になる必要はありません。
PCOSは、適切な治療を行えば排卵障害を改善できる可能性が高い疾患です。 自然排卵が難しくても、お薬の助けを借りることで排卵のリズムを作り、妊娠の機会を増やすことができます。
当院では、患者様の「妊娠希望の有無」に合わせて治療を行います。
パターンA:今すぐ妊娠を希望する場合
「排卵さえすれば、妊娠の確率はグンと上がる」状態ですので、お薬の力で卵子を育てて、排卵を助けます。
- 飲み薬(排卵誘発剤):
クロミッドやレトロゾールといったお薬を飲み、卵巣を刺激して排卵を促します。 - 注射(排卵誘発剤):
飲み薬で効果が不十分な場合、注射を使って卵子を育てます。 - タイミング法:
エコーで卵子の大きさをチェックし、「今日か明日に排卵しそうです」と医師が最適なタイミングをお伝えします。
パターンB:今は妊娠を希望しない場合
将来のために子宮環境を整えておくことが大切です。
ピル(低用量ピル・中用量ピル)などを使って、「定期的に生理を起こす」治療を行い、子宮内膜が厚くなりすぎるのを防ぎます。
また、漢方薬で体質改善を目指すこともあります。

まとめ:生理不順は「体からのSOS」。早めの受診を
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、決して珍しい病気ではありませんし、「不治の病」でもありません。
医師と二人三脚で排卵のタイミングを整えれば、多くのPCOSの方が妊娠・出産されています。
一番良くないのは、「生理が来ないから楽だわ」と何ヶ月も放置してしまうことです。
将来、赤ちゃんが欲しいと思った時にすぐにスタートが切れるよう、まずは一度、卵巣の状態をチェックしに来てください。
【監修】医療法人育愛会 愛産婦人科
院長 菅原 正樹
札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。 私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。お口のトラブルに関するご相談も、健診の際にお気軽にお声がけください。





