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【医師解説】RSウイルスワクチン(アブリスボ)が2026年4月から「定期接種」へ。今、妊娠中の方はどうする?費用と接種の必要性

【医師解説】RSウイルスワクチン(アブリスボ)が2026年4月から「定期接種」へ。今、妊娠中の方はどうする?費用と接種の必要性

2025/12/28(Sun)

【医師解説】RSウイルスワクチン(アブリスボ)が2026年4月から「定期接種」へ。今、妊娠中の方はどうする?費用と接種の必要性

2026年4月から、妊婦さん向けのRSウイルスワクチン(アブリスボ)が公費で受けられる「定期接種」となる方針が固まりました。 このニュースを見て、「4月まで待ったほうがいいの?」「自費(約3万円)でも今打つべき?」と悩まれている妊婦さんも多いはずです。 結論から申し上げますと、現在妊娠中の方は4月を待たずに「今」自費で接種することを強くお勧めします。 この記事では、なぜ制度開始を待たずに打つべきなのか、その医学的な理由とワクチンの効果について解説します。

そもそも「定期接種になる」とは?

これまで全額自己負担(約3万円)だったアブリスボが、2026年4月から定期接種(原則無料)になります。

これは国の専門部会で「赤ちゃんの命を守るために、極めて重要性が高いワクチンである」と認められたことを意味します。

つまり今回の制度変更は「国がすべての妊婦さんに打ってほしいと強く推奨した」という、大きな医学的根拠に基づいているのです。

今、妊娠中の方はどうする?「4月まで待つ」2つのリスク

「無料になるなら待ちたい」というお気持ちは痛いほど分かります。しかし、以下の理由から、現在妊娠中の方が4月を待つことはお勧めできません。

1. 出産に間に合わない

このワクチンは、妊娠24週〜36週の間に接種する必要があります。現在妊娠中の方は、制度が始まる来年4月にはすでに出産を終えているか、推奨期間を過ぎている可能性が高いため、公費の対象にはなりません。

2. 「RSウイルス」の流行期は冬〜春

RSウイルスは秋から春にかけて流行します。

今接種を見送ると、赤ちゃんは最も免疫力が低く重症化しやすい「新生児期」に、丸腰の状態でウイルスの流行期(この冬)を過ごすことになってしまいます。

自費でも打つ価値はある?

「約3万円」という費用は決して安くありません。しかし、その費用をかけるだけの「赤ちゃんを守る効果」は確実にあります。

  • 赤ちゃんの入院リスクを激減させる
    お母さんが接種することで、胎盤を通じて赤ちゃんに「抗体(免疫)」がプレゼントされます。これにより、生後間もない赤ちゃんがRSウイルスで重症化し、入院するリスクを大幅に減らせることが証明されています。
  • 「安心」を買う保険として
    生後すぐの赤ちゃんが入院することになれば、ご家族の負担や心配は計り知れません。自費での接種は、そうした事態を防ぐための「最も確実な保険」と言えます。

接種のタイミングと費用

  • 接種推奨時期:妊娠24週〜36週(特に28週〜36週が最適)
  • 接種回数:1回(筋肉注射)
  • 費用:約30,000円〜35,000円(自費診療のため、医療機関により異なります)

※当院での正確な接種時期と費用については、診察の際にご相談ください。

まとめ

来年4月からの定期接種化は、ワクチンの重要性を国が保証した証です。

制度開始を待てない現在妊娠中の方にとって、自費での接種は決して無駄な出費ではありません。

生まれてすぐの赤ちゃんを守れるのは、お母さんである「あなた」だけです。

「高いからどうしよう…」と迷われている方は、ぜひ一度診察室で医師へご相談ください。赤ちゃんの健やかな未来のために、最善の選択を一緒に考えましょう。

【監修】

医療法人育愛会 愛産婦人科

院長 菅原 正樹

札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。 私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。ワクチンのこと、出産準備のことなど、どうぞお気軽にご相談ください。