
【助産師解説】後悔しない「産院選び」の5つのポイント。総合病院とクリニック、どう違う?
妊娠おめでとうございます。 検査薬で陽性が出て、喜びを感じると同時に、「どこの病院で産めばいいんだろう?」「何を基準に選べばいいの?」と、最初の壁にぶつかっている方も多いのではないでしょうか。 出産する施設(産院)は、赤ちゃんの命を守る場所選びであると同時に、ママが命がけの大仕事を乗り越え、家族としてのスタートを切る大切な場所選びでもあります。 「家から近いから」だけで決めてしまい、後から「もっとこういうサービスがある所がよかった…」と後悔しないために。 今回は、助産師の視点から「自分に合った産院を選ぶための5つのポイント」を解説します。
まずは知ろう。「総合病院」と「個人クリニック」の違い
分娩施設は大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれの特徴を知り、自分の優先順位と照らし合わせてみましょう。
1. 総合病院・大学病院
小児科や内科などが併設されている大きな病院です。
- メリット:NICU(新生児集中治療室)などがあり、合併症がある場合や早産など、緊急時の対応力が高いことが一番の強みです。もともと持病がある方や早産リスクの高い方など、医師の判断で総合病院での出産となることもあります。
- デメリット:外来通院中は待ち時間が長くなりがちです。食事は栄養バランスを重視した一般的なメニューであったり、個室よりも大部屋(4人部屋や2人部屋など)が中心となることが多いです。
2. 個人産院・クリニック(診療所)
地域にある、産婦人科専門の施設です。
- メリット:アットホームな雰囲気で、妊娠中から産後まで顔なじみのスタッフに見守ってもらえる安心感があります。病院食とは違って食事が豪華であったり、個室が完備されているなど、サービスが充実している所が多いです。また、コロナ禍の影響で、総合病院では面会や立ち会いなどの制限が継続している施設もありますが、個人病院やクリニックは比較的制限が厳しくないのも特徴です。
- デメリット:母子ともに高度な医療処置が必要になった場合(早期の早産や分娩後の大量出血、赤ちゃんの呼吸障害など)や、妊娠中や産後問わず、大きな病院へ搬送(転院)になることがあります。

助産師が教える!チェックすべき「5つのポイント」
施設タイプを踏まえた上で、実際に選ぶ際の具体的なチェックポイントをご紹介します。
① 「お産の方法」は希望通りにできる?
「自然分娩で産みたい」「フリースタイル出産をしたい」「無痛分娩(和痛分娩)を考えている」「立ち会い出産をしたい」「お産の時は必ず医師に立ち会ってほしい」など、ご自身の希望に対応しているか確認しましょう。
特に無痛分娩は、取り扱っていない施設や、平日や日中しか対応していない施設もあるため、事前の確認が必須です。
② 「母乳育児」への方針
ここは意外と見落としがちですが、入院中の疲労度やメンタルに直結する重要なポイントです。意外と産院によって方針がかなり変わります。母乳を強く推奨しているのか、ママの希望優先でサポートをしてもらえるのか。
最近は少なくなりましたが、入院中は新生児室で24時間赤ちゃんをおあずかりする施設もあります。ママが入院中に休めるというメリットの反面、退院後に突然始まる24時間赤ちゃんとの生活はギャップも大きくなりがちで、初産婦さんは退院後に苦戦するケースもよく聞きます。
ご自身がどちらのサポートを望むか、HPや施設見学などで雰囲気を確認しておくと安心です。
③ 通いやすさ(アクセス)
妊婦健診は出産までに約14回、もしくはそれ以上あります。お腹が大きくなってからの通院や、陣痛が来た時の移動手段を考えると、「自宅からの近さ・通いやすさ」はやはり重要です。
冬場に雪道での移動が必要な地域(北海道や東北など)では、なおさら通いやすさが大切になります。
④ 費用とサービス(個室・食事)
出産育児一時金(50万円)でまかなえる範囲なのか、プラスでいくらかかるのかを確認しましょう。
また、産後は身体の回復が重要なため、「個室で周りを気にせず休めるか」「個室の場合、1日あたりの個室料金はどのくらいか」「美味しい食事(お祝い膳)が出るか」といった快適さは、決して贅沢ではなく、ママの心身の健康を整えるために重要視される方も多いです。
⑤ 「産後ケア」や「退院後の相談のしやすさ」
出産はゴールではありません。退院してからが育児の本番です。
「退院後も母乳外来で相談できるか」「産後ケア(デイケアや宿泊など)を行っているか」など、産んだ後も頼れる場所かどうかは、長く付き合っていく上で重要なポイントです。
特に、出産した施設でそのまま産後ケアを利用できることは大きなメリットです。妊娠中の経過や、お産の時の様子、入院中の赤ちゃんの様子などをスタッフがすでに把握しているため、「一から説明しなくても分かってくれる」という安心感があります。お互いをよく知っている状態でのケアは、的確なアドバイスが受けやすく、満足度も格段に高まります。

まとめ
産院選びに「絶対の正解」はありません。
「安全性を最優先したい」のか、「美味しいご飯と個室でリラックスしたい」のか、「無痛分娩ができること」なのか。
「自分がどんなお産をして、育児のスタートをどのように始めたいか」をイメージすることが大切です。とはいえ、まだ経験したことのない未来を具体的にイメージするのは、なかなか難しいことだと思います。 だからこそ、実際に足を運んでみることをお勧めします。病院見学に行ったり、気になることを問い合わせてみたりして、その場の空気感を肌で感じることで、「ここなら安心できそう」という感覚が見つかるはずです。
当院ではアットホームな雰囲気の中で、美味しい食事と快適な個室をご用意し、お一人おひとりのバースプランに寄り添ったお産をサポートしています。
「迷っていて決められない」「転院しようか悩んでいる」という場合も、まずは病院見学会に来てみませんか?
当院の病院見学会は、こちらからご確認ください。
【監修】
医療法人育愛会 愛産婦人科




