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【助産師解説】入院中に涙が止まらない…「マタニティブルーズ」とは?ホルモンの急激な変化と対処法

【助産師解説】入院中に涙が止まらない…「マタニティブルーズ」とは?ホルモンの急激な変化と対処法

2026/01/22(Thu)

【助産師解説】入院中に涙が止まらない…「マタニティブルーズ」とは?ホルモンの急激な変化と対処法

「赤ちゃんは可愛いし、出産も無事に終わった。幸せなはずなのに、なぜか涙が止まらない…」 「ふとした瞬間に、強烈な不安に襲われる」 出産直後、特に入院中の2日目〜4日目あたりに、このような情緒不安定な状態になることがあります。 自分でも理由がわからず、「私、母親失格なのかな?」と自分を責めていませんか? 実はそれ、あなたの性格のせいではありません。 産後のママの30〜50%(2〜3人に1人)が経験するマタニティブルーズという生理現象です。 今回は、なぜ産後に心が揺れ動くのか、その医学的な理由と、辛い時の乗り越え方を助産師が解説します。

1. なぜ?「マタニティブルーズ」の原因はホルモン

マタニティブルーズの正体は、急激なホルモン変化による脳のパニック状態です。

妊娠中、お腹の赤ちゃんを育てるために、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)は通常の何十倍、何百倍にも増えています。

しかし、出産して胎盤が体の外に出た瞬間、このホルモンは崖から転がり落ちるように急激に減少し、ほぼゼロに近い状態になります。

よく「ジェットコースター並みの変化」「交通事故に遭ったのと同じレベルの衝撃」と表現されますが、これほど急激な変化に脳と自律神経がついていけず、一時的に情緒不安定になってしまうのです。

2. こんな症状はありませんか?

マタニティブルーズは、産後3日目〜1週間頃をピークに現れます。

  • 涙もろくなる(嬉しいわけでも悲しいわけでもないのに泣ける)
  • 不安感(「ちゃんと育てられるかな」と急に怖くなる)
  • イライラする(夫の何気ない一言に腹が立つ)
  • 集中力の低下(説明を聞いても頭に入らない)
  • 不眠(疲れているのに眠れない)

これらは病気ではなく、ホルモンバランスが整うまでの一時的な反応です。

「今はホルモンの嵐の中にいるんだ」と割り切って考えてみてください。

3. 入院中・退院後に辛くなった時の対処法

「泣いちゃダメだ」と我慢するのは逆効果です。以下の3つを意識して過ごしてみてください。

① 「泣く」のは心のデトックス

涙が出そうになったら、思いっきり泣いてしまいましょう。

涙にはストレス物質を体の外に出す働きがあります。我慢せずに泣くことで、副交感神経が働いてリラックスできることもあります。

辛い時はナースコールを押したり、スタッフに声をかけたりしてくださいね。『ただ誰かに話を聞いてほしい』『背中をさすってほしい』だけでも大丈夫です。

② 睡眠を最優先にする

ホルモンの変化に加え、「出産による疲労」と「睡眠不足」が重なると、メンタルはさらに落ち込みます。

赤ちゃんが寝たら、スマホを見ずに一緒に横になりましょう。

入院中であれば、「今日は辛いので赤ちゃんを預かってほしい」と助産師に伝えて、数時間でもぐっすり眠る時間を確保してください。ママの休息は、赤ちゃんへの愛情不足ではありません。

③ ママの笑顔が、赤ちゃんの一番の栄養 

睡眠不足や不安でママの心がカラカラに乾いている状態では、赤ちゃんに愛情を注ぐ余裕もなくなってしまいます。

まずは自分の体と心を整えることを最優先にしてください。 あなたが心穏やかで幸せな気持ちでいることが、赤ちゃんにとっても何よりの安心材料になります。「赤ちゃんのために、まずは私が休む」。そう考えて、自分を労ってあげてくださいね。

4. 「産後うつ」との違いは?

マタニティブルーズは一過性のもので、通常は産後2週間〜1ヶ月程度で自然に落ち着いてきます。

しかし、以下のような状態が2週間以上続く場合は、「産後うつ病」の可能性があります。

  • 赤ちゃんが可愛いと思えない、興味がわかない
  • 「消えてしまいたい」と思う
  • 食欲がない、眠れない状態がずっと続く
  • 一日中気分が沈んでいて、何をしても楽しくない

この場合は、専門家のサポートが必要です。

「こんなこと相談していいのかな?」と思わず、産婦人科の医師や助産師、地域の保健師に必ず相談してください。

まとめ

入院中に涙が出るのは、あなたが一生懸命出産を乗り越え、母になろうと体が変化している証拠です。

決して「弱い」からでも「性格が悪い」からでもありません。

「今はホルモンのせいで、心がちょっと風邪をひいているだけ」

そう思って、自分を責めずに、今の感情をそのまま受け止めてあげてくださいね。

私たち助産師は、いつでもあなたの味方です。辛い時はナースコールを押して、話を聞かせてください。

【監修】

医療法人育愛会 愛産婦人科