
【産婦人科医監修】妊娠してからでは遅い?「葉酸サプリ」を妊活中から飲むべき医学的理由
「妊娠したら葉酸を摂るといい」 なんとなく聞いたことはあるけれど、実際に飲み始めるタイミングはいつが良いのでしょうか? 多くの女性が「葉酸は妊娠してから飲めばいい」と思っているかもしれません。 しかし、医学的な視点でお話しすると、葉酸は「妊娠する前(妊活中)」から飲み始めるのが医学的に最も推奨されています。 なぜ妊娠してからでは遅いのか? そして、もし飲み忘れてしまったらどうすればいいのか? 産婦人科医の視点から解説します。
1. なぜ「妊娠してから」では遅いと言われるの?
これには、赤ちゃんの体の「ある重要な部分」が作られる時期が関係しています。
妊娠直後の「4週〜6週」が勝負
赤ちゃんの脳や脊髄の元となる神経管という部分は、妊娠6週末(受精後およそ28日)までにはできあがります。
しかし、多くのママが「妊娠したかも?」と気づいて検査薬を使うのは、早くても妊娠4週〜5週頃。産婦人科に来る頃には、赤ちゃんの神経の基礎はすでに完成間近(または完成した後)なのです。
つまり「妊娠検査薬が陽性になってから飲み始める」のでは、赤ちゃんの細胞分裂が一番活発で、最も葉酸を必要としているピークの時期に間に合わない可能性があるため、「妊娠前(妊活中)から」が推奨されているのです。

2. 葉酸が不足するとどうなる?(医学的なリスク)
葉酸はビタミンB群の一種で、新しい赤血球を作ったり、細胞の生産や再生を助けたりする働きがあります。
特に妊娠初期に葉酸が不足すると、以下のリスクが高まることがわかっています。
神経管閉鎖障害(二分脊椎・無脳症など)
脳や脊髄がうまく作られない先天異常です。
日本では、このリスクを低減させるために、厚生労働省が「妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、食事に加えてサプリメントなどで葉酸を摂取すること」を推奨しています。
研究データによると、適切な時期に葉酸を摂取することで、この発症リスクを数割〜7割程度減らせるとされています。
3. 食事だけじゃダメ?サプリメントが必要な理由
「ほうれん草やレバーを食べていれば大丈夫?」と思うかもしれませんが、実は食事だけで必要量を満たすのは非常にハードルが高いのです。
① そもそも吸収率が違う
- 食品に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型): 体内での利用効率が低い(約50%)
- サプリに含まれる葉酸(モノグルタミン酸型): 体内での利用効率が高い(約85%)
厚生労働省も、通常の食事からの摂取に加えて、サプリメント(モノグルタミン酸型)から1日400µgを摂取することを推奨しています。
② 熱に弱く、水に溶けやすい
葉酸は調理の過程で失われやすい栄養素です。毎日大量の野菜を完璧に調理して食べるよりも、サプリメントで確実に400µgを底上げする方が、医学的にも確実性が高いと言えます。
4. 「妊娠判明まで飲んでいなかった!」という方へ
妊娠がわかるまで「飲み始めていなかった…」と不安になってしまった方も、どうか自分を責めないでください。
葉酸サプリを飲んでいなかったからといって、必ずしも赤ちゃんに影響が出るわけではありません。 実際、サプリメントが普及する前の時代でも、多くの元気な赤ちゃんが生まれています。あくまで「リスクを下げるための習慣」であり、飲まなかったからといって必ず病気になるものではないのです。
過ぎてしまった時期を悔やむよりも、ママがリラックスして過ごすことの方が、赤ちゃんにとっては大切です。
葉酸は、これからの「貧血予防」や「赤ちゃんの成長」にも必要な栄養素です。 「気づいた今日が、始めどき」と気持ちを切り替えて、今からサプリメントを取り入れていきましょう。

まとめ:妊活を始めたら、基礎体温と一緒に「葉酸」も
未来の赤ちゃんへの最初のプレゼントとして、妊活を意識し始めたら葉酸サプリの摂取を習慣にしましょう。
- いつから?:妊娠を考え始めたら(少なくとも妊娠の1ヶ月前から)
- いつまで?:妊娠中はもちろん、授乳期まで(量は時期によって調整)
- どれくらい?:サプリメントで1日400µg
当院では、プレコンセプションケア(妊娠前の健康管理)のご相談も承っています。「どのサプリがいいの?」「私の体調で気をつけることは?」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。
【監修】医療法人育愛会 愛産婦人科
院長 菅原 正樹
札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。 私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。お口のトラブルに関するご相談も、健診の際にお気軽にお声がけください。





