次の妊娠を考える前に。まずはママの体の回復を最優先に
出産という大仕事を終えたお母さんの体が、妊娠前の状態に完全に戻るには、少なくとも1年ほどの時間が必要です。
特に、赤ちゃんを育んだ子宮が元の大きさに戻り、妊娠・出産で消耗した体力や鉄分などの栄養素をしっかり蓄え直すことが、次の赤ちゃんとママ自身の健康にとって不可欠です。
世界保健機関(WHO)は、出産から次の妊娠まで最低でも18ヶ月(1年半)空けることを推奨しており、帝王切開でご出産された場合は、傷跡の回復のためにも医師と相談しながらより慎重に計画することが大切です。
【重要】月経がなくても妊娠はする?産後の排卵について
産後の月経再開時期は、授乳の有無や体質によって大きく異なり、数ヶ月で再開する人もいれば、1年以上ない人もいます。
ここで、最も知っておいてほしいことがあります。それは、“排卵は、月経が来る前に起こる”ということです。
つまり、産後まだ一度も月経が来ていなくても、排卵が起きていれば妊娠する可能性は十分にあります。「母乳をあげているから大丈夫」というわけではありません。そのため、産後初めての性交渉の時から、必ず避妊が必要です。
産後の避妊方法の種類と特徴
産後の体の状態や授乳の有無によって、適した避妊方法は異なります。それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフプランに合った方法を選びましょう。
① コンドーム
男性器に装着し、精子が腟内に入るのを物理的に防ぐ方法です。
- 使い始められる時期:産後1ヶ月健診で問題がなければ、最初の性交渉時から使用できます。
- メリット:手軽に購入でき、体への負担がない。性感染症の予防にも効果的。
- デメリット:正しく装着しないと、避妊に失敗する可能性がある。
- 授乳への影響:全くなし。
② 低容量経口避妊薬いわゆる低容量ピル
排卵を抑制する効果が非常に高いですが、女性ホルモン(エストロゲン)が含まれており、母乳の分泌量を低下させる可能性があるため、授乳期間中の服用はできません。卒乳後や、ミルク育児のお母さんには良い選択肢です。
③ IUD(子宮内避妊具)/ IUS(子宮内避妊システム)
子宮内に小さな器具を装着し、受精卵の着床を防ぐ方法です。一度装着すれば、数年間にわたり高い避妊効果が続きます。
- 使い始められる時期:子宮の回復が進む、産後3ヶ月ごろから装着可能です。
- メリット:毎日何かをする必要がなく、長期間効果が持続する。IUS(ホルモン付加タイプ)は月経量が減るという副効果も。
- デメリット:挿入・除去のために受診が必要。定期的な健診が必要。
- 授乳への影響:全くなし。
※IUD/IUSをご希望の際は、まず診察と検査が必要です。お気軽にご相談ください。
まとめ
- ママの体の回復のため、次の妊娠までは少なくとも1年以上空けることが推奨されます。
- 産後の月経が再開していなくても、排卵は起こり得ます。最初の性交渉から必ず避妊しましょう。
- 避妊には、コンドーム、ピル、IUD/IUSなど様々な方法があります。
- 授乳中でも使用できる避妊法(IUD/IUSなど)があります。
- 自分に合った方法を見つけるために、産婦人科で相談してみることもおすすめです。
【監修】 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長 菅原 正樹
札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。 私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。産後の体調や、これからの家族計画についてなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。





